北野さん

バスはもっと楽しく、あったかい、いい乗物になる。

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「仕事をまじめにやっていれば、いいことがある」。そう語ったのは、北野さん。49歳の南海バス乗務員です。12年前、父親から譲り受けたクリーニング店をたたみ、北野さんは南海バスに就職します。「当時は、景気が悪くって、なかなかうまくいかなかったんです。それで思い切って、お店をたたんで子どもの頃から憧れていたバス乗務員になろうと決意したんです」。バス乗務員になる。ただし、北野さんのゴールは、最初からそこではありませんでした。

「社名は言えませんが、ある会社のバスに乗るといい感じがしなかったんですね。どうして、あんなつっけんどんな対応をするんだろうって」。サービス業でもあるのに、どうしてだろう?もっとできることがあるはずだ。だから、運転席に座ってから北野さんはずっとお客様の方を向いて仕事をしてきました。その思いが、少しずつ実を結びます。「朝の通勤とか、通学とかに利用いただくケースも多いでしょ。朝からイヤな思いはして欲しくないし、できれば少しでも楽しい思いになって欲しいと、運転席の横に、季節を表した小物を置きはじめました」。『今日は節分やった』や『明日はクリスマスイブ』って和んでもらったら、いいかなと思って」。

北野さんは、発車の際、いったんハンドルから手を離すそうです。そして、一度、乗客のみなさんを振り返り「発車します」といいます。この心配りは、乗降の際に交わす短い言葉にも表れていました。「きいつけていきや」。「試験がんばりや」。「風邪、ひいたらあかんで」。

「北野さん、3年間ありがとうございました」。女子高生が卒業の際に、送ってきてくれたメールには感謝の言葉とともに3年間の思い出が綴られていました。ある日、運転する北野さんの横に大学生が立ち、「北野さん、お久しぶりです。ようやく就職が決まりました」と報告してくれました。その一言をいうために、彼はきっと北野さんが運転するバスを待ち続けてくれていたのでしょう。バスの乗務員にできることはけっして多くはありません。寡黙でもいいし、ぶっきらぼうでもできなくはない。お客様は、笑顔のサービスを期待していないから。でも、ほんとうにそうでしょうか。


「バスはもっと楽しく、あったかい、いい乗物になる」。そういう北野さんの言葉を少しでもはやく実現できるよう、今回も、南海バスは乗務員を募集します。いい人たちを乗せて走ろうと思う。